展示
館内施設2F
シサㇰ イコㇿ トゥンプ
特別展示室/2F
第4回テーマ展示「地域から見たアイヌ文化展 アカント ウン コタン — 阿寒湖畔のアイヌ文化 —」
- 公開日:
*関連イベント情報を更新しました。 詳細はこちら【関連イベント】をご覧ください。 (2023/4/15)
*関連イベント情報を更新しました。 詳細はこちら【関連イベント】をご覧ください。 (2023/4/19)
この展示について
阿寒湖畔のアイヌ文化は、伝統を正しく受け継ぐだけではなく、民族の違いを越えて寄り添う人びとと、新しいものを生み出していく協働によって成り立っています。本展覧会では、このような阿寒湖畔で花開いたアイヌ文化を紹介します。
阿寒湖畔では、アイヌ文化の伝統が観光業に携わる人びとの間で受け継がれ、発展してきました。民具や土産品の作り手たちは、阿寒湖畔の観光地化とともに各地から集まり、切磋琢磨して技術を高め、また、芸能や儀礼は観光の中でも受け継がれ、新しい文化も生み出してきました。アイヌ語の母語話者が減少していく中にあっても、この地域ではアイヌ語が店名や施設名に使われるなど、現在も身近なものになっています。ここで紹介するのは、阿寒湖畔のアイヌ文化のほんの一部にすぎません。この展示が、現在に受け継がれ、独自の発展を遂げてきたアイヌ文化を実際に体験できる「アカント ウン コタン」阿寒湖畔を訪れるきっかけになることを心から願っています。
この展示は、アイヌ文化の独自性や多様性を地域単位で紹介していく当館のシリーズ展示「地域からみたアイヌ文化展」の2回目として位置付けられています。
基本情報
第4回テーマ展示「地域から見たアイヌ文化展 アカント ウン コタン — 阿寒湖畔のアイヌ文化 —」
【会 期】
2023年3月14日(火)~5月14日(日)
※新型コロナウイルス感染拡大状況によっては会期を変更する場合があります。
【休館日】
月曜日
※月曜日が祝日または休日の場合は翌日以降の平日が休館日になります。
【会 場】
国立アイヌ民族博物館 特別展示室
【主 催】
国立アイヌ民族博物館
【協 力】
阿寒アイヌ協会、阿寒アイヌ工芸協同組合、阿寒アイヌ民族文化保存会、一般社団法人阿寒アイヌコンサルン、環境省阿寒摩周国立公園管理事務所、釧路市阿寒湖アイヌ施策推進室、釧路市産業振興部阿寒観光振興課、釧路市中央図書館、阿寒アドベンチャーツーリズム株式会社、一般財団法人前田一歩園財団、NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構、鶴雅ホールディングス株式会社
入場について
民族共生象徴空間(ウポポイ)入場料でご覧いただけます。
※国立アイヌ民族博物館の基本展示室の観覧料は、民族共生象徴空間(ウポポイ)の入場料金に含まれます。
ご入場にあたり、オンラインによる日時指定(事前予約)をお勧めします。[予約はこちら (ウポポイウェブサイト)]
- 博物館の日時指定予約は、基本展示とテーマ展示を兼ねておりますので、一度の予約でけっこうです。
- 再入場は当日に限り可能ですが、展示室の混雑状況により、お待ちいただく場合があります。
- 展示室への入場は閉館30分前の16:30までとなります。
当館では、手洗い・手指消毒及び咳エチケットのご協力をお願いしております。 また、展示物や展示ケースにはお手を触れず、他のお客様とは一定の間隔を保ち静かにご観覧いただくようご協力をお願いしております。
関連イベント
阿寒で受け継がれる伝統芸能の公演や、現代の伝承者によるトークなどの関連イベントを予定しています。
● ウポポイ園内におけるアイヌ舞踊等の披露
[日時]2023年3月18日(土) 12:30~13:00, 14:30~15:00
2023年3月19日(日) 10:30~11:00, 12:30~13:00
中止となりました。
*詳しくはこちらをご覧ください。
●「阿寒湖アイヌコタンの”今”と”昔”を語る」
[日時] 2023年4月1日(土) 14:00~15:35 (受付13:30から)
*詳しくはこちらをご覧ください。
●「アイヌ語のおはなしを聴いてみよう!」
[日時] 2023年4月2日(日) 14:00~14:50 (受付13:30から)
*詳しくはこちらをご覧ください。
● ギャラリートーク 第5章 「ことば」
[日時] 2023年5月3日(水・祝) 13:30~14:00 (受付13:00から)
*詳しくはこちらをご覧ください。
● ギャラリートーク 第6章 「観光」
[日時] 2023年5月7日(日) 13:30~14:00 (受付13:00から)
*詳しくはこちらをご覧ください。
● スペシャルトークイベント
[日時] 2023年5月13日(土)13:30~13:50 (受付13:00から)
2023年5月14日(日)11:00~11:20 (受付10:30から)
*詳しくはこちらをご覧ください。
展示構成
第1章 歴史
第2章 工芸
第3章 芸能
第4章 共に歩む人たち
第5章 ことば
第6章 観光
第1章 歴史
19世紀中頃に北海道や樺太を踏査した松浦武四郎の『久摺日誌』には、舌辛川と阿寒川沿いにアイヌの家が数軒ずつあったと記されています。その後、明治政府によって農業が勧められ、和人の阿寒への移住が進み、アイヌの生活は大きく変わっていきます。さらに、1908(明治41)年に阿寒湖畔初の旅館が開業し、1934(昭和9)年には国立公園に指定され、戦後の北海道観光ブームの頃には、各地からアイヌが移住してきて、現在の阿寒湖アイヌコタンが形成されました。本展示で紹介する阿寒湖畔のアイヌ文化は、こうした経緯を背景にして、他の地域には見られない独自の歩みをもって受け継がれています。
第2章 工芸
阿寒湖畔には、伝統的なアイヌの民具であるマキリやイタ、丸木舟をはじめ、木彫りのクマや「カムイニ」(トーテムポールのようなもの)まで、大小さまざまなモノを手がける作り手がいます。各地の人びとが阿寒湖畔に集まり、切磋琢磨し技術を高めてきたことが、今日の作品づくりへとつながっています。この素晴らしい技術と作品、そしてその作り手たちを紹介します。
第3章 芸能
阿寒アイヌ民族文化保存会が伝承・保存してきた歌や踊りのほか、舞台などで観光客に向けて上演される歌や踊り、物語を演劇化した「ユーカラ劇」や「人形劇」、さらに現在ではデジタル技術を取り入れた阿寒ユーカラ「ロストカムイ」等の演目もあり、多様な芸能があります。また、この他にも個人の活動といった、様々な阿寒湖畔の芸能を紹介します。
第4章 共に歩む人たち
阿寒湖アイヌコタンには、アイヌ以外の人たちのなかにも、民族の違いを越えてアイヌと協力し、アイヌ文化に寄り添いながら生活している人がたくさんいます。阿寒湖アイヌコタンに縁の深い「前田一歩園財団」、「ペウレ・ウタリの会」の2団体を紹介します。阿寒湖畔を拠点に、どのようにしてアイヌとアイヌ以外の人たちが共に歩んできたのかを、振り返ります。
第5章 ことば
『アイヌ・モシリ』をはじめとするアイヌ語・アイヌ文化に関する著作を多数残すなど精力的に活動した山本多助エカシ[1904(明治37)年~1993(平成5)年]の功績を振り返ります。また店名や施設名などで使われてきたアイヌ語を取り上げるとともに、アイヌ語や物語を通じてアイヌ文化を学ぶ取り組みなどを紹介します。
第6章 観光
阿寒湖畔は、雄阿寒岳・雌阿寒岳等の山々と湖が隣接した自然豊かな地域です。伝統文化を受け継ぐアイヌや地方から移住した人びとが、民芸品の制作・販売や飲食店を営み、舞踊等を披露するなど、ここは観光の一大拠点となっています。アイヌの伝統儀礼に則った祭事やアイヌ文化と調和した街並みづくりに官民が協力して積極的に取組む姿勢も阿寒の魅力の一つです。